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サイレントエモーショナルサマー
第1章 さらば、不変
「ねえ、今どんな気持ちですか」
そんなことを聞かれたって頭の中は真っ白でなにも浮かんではこなかった。
涙越しに見える端正な顔には見慣れない表情が乗っている。普段はきちんとセットされたこげ茶色の柔らかな髪が乱れ、見慣れない表情に陰を作っていた。
顎の細い小さな頭部にバランスよくおさまったパーツ。適度に整えられた眉の下の眼は同じ日本人とは思えないほどに色素が薄く、私はその眼に見つめられると弱かった。すうっと通った鼻筋も羨ましい。紅を差さずとも怪しく赤い唇はいつも私のことが好きだなんだと真っ直ぐな言葉をぶつけてくる。
中性的な顔の下に続く身体はまさしく男性のそれであったがしなやかな美しさがあり、顔との調和は取れていると言えた。問題は彼の下半身にある。仰向けの私の股を割って膣に挿し込まれたモノは顔や体の美しさとは酷くアンバランスな凶悪さに満ちていた。
「考え事ですか?余裕ですね」
「あっ…」
ぐいと腰を打ちつけられて情けない喘ぎ声が私の口から逃げていく。もう3回は欲望を吐き出したと言うのに彼のモノは一向に硬さを失わない。
「も、やだ…」
「好きなくせに」
私の泣き言を無視して頬にちゅっと口付けてからクリトリスへと指を伸ばす。やわやわと撫でたかと思えば力任せに摘ままれ下腹部にぎゅっと力が入ったのが分かった。
「今、志保さんの中すごい締まりましたよ。痛いのが気持ちいいんですか?」
「まって…藤くん…、もう…、」
肌触りの良いシーツはぐしゃぐしゃに乱れている。いやいやと頭を振ると目尻から零れ落ちた涙がいやらしいワインレッドのシーツに吸い込まれていく。
力の抜けた両腕はだらしなく投げ出したまま。荒い呼吸音と共に耳を犯す卑猥な水音。彼はきっとわざと音を大きくしているのだ。だって、今までのセックスでこんなにもこの音をいやらしいと思ったことなどなかった。
「んっ…、ぁ…」
彼の両手が乳房へと伸びてくる。硬くなった乳首を親指の腹で転がして私が声を出すと、かわいい、と笑った。抓んだり、弾いたり、口に含んで舐めたり吸ったり。そうやって弄びながらも器用に腰を動かしてくる。