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サイレントエモーショナルサマー
第17章 ricordo
◇◆
「……ん、」
喉の痛みで目を覚ます。うつらうつらと目を開くと藤くんの胸元が視界いっぱいに広がっていた。ああ、そうか、まんまと気絶したのか。
「無理させてごめんなさい」
髪を撫でる手の感触でまだうつろう視線を藤くんの顔の方へ上げる。眉尻を下げ申し訳なさそうな顔をしているように見えた。
「気持ち良かった…よく覚えてないけど」
「志保さん凄かったですよ。意識ないのに、んっ、ってエロい声出してぐちゃぐちゃに濡らしてました」
「……私は本気で君を甘く見ていたようですね」
「俺を普通の男と同じだと思って貰ったら困ります」
端的に言えば、私は藤くんを普通の男と同じだと思ったことは一度もない。ファッション誌からそっくりそのまま抜け出してきたようなルックスだけでも十分普通ではないというのに、彼は私が都市伝説とすら思っていた巨根遅漏絶倫だった訳だ。
私はその絶倫具合を少しばかり甘く見積もっていたらしい。金曜の夜には5回戦、6回戦までもつれ込むことが多々あったが、そこが彼の限界値なのだと決めつけていた。
「ご飯食べてないし、ソフトに1回って思ってたんですけどね。志保さんに耳噛まれたら歯止めが、」
「ちっ…余計なことしなきゃよかった」
「そんなつれないこと言ってるとまたしますよ」
「ごめん、ごめんなさい。流石にもう満足お腹いっぱい。これ以上したら死んじゃう」
逃げようとする私の腰を抱く腕の力はいつもよりなんだか弱い。流石の藤くんも相当お疲れらしい。
「藤くん、今何時?てか、藤くん寝た?大丈夫?いつも私が起きるより先に起きてる」
「ちゃんと寝たんで大丈夫です。ちなみに今は日曜の13時です」
「…私、何時に意識飛ばした?」
「俺も興奮してたんで覚えてません」
目が冴えてきて詰め寄る私の声がうるさいのか藤くんは私をさらに抱き寄せると目を閉じる。頬に触れると擽ったそうにそっと笑うのがなんだか可愛い。