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サイレントエモーショナルサマー
第19章 Renatus
バーテンダーに揺り起こされると時刻は明け方3時だった。短く詫びて会計を済ませると独りで飲んでいたというのに支払いは優に一万を超えていた。そりゃ、寝るわ。どんだけギムレット飲んでんだよ、と自分に呆れながらタクシーに乗り仕方なしに自宅へ戻った。

鈍く痛む頭を従えてシャワーを浴び、ソファーに腰かけてからいつの間にかそのまま眠ってしまったようで鞄に入れっぱなしだったスマホのアラームで目を覚ました。そろそろ眠れなくなる頃だと思っていたのだが、幸い夢を見ることなく深く眠れたらしい。

― あれだけ飲めば夏でも家で眠れるのか

欠伸交じりにコーヒーを淹れながら喉の奥にはまだギムレットの味がこびり付いているようだった。飲めば眠れるとはいえ昨晩程の飲酒を毎晩続けていたら内臓が悲鳴を上げるだろう。

今夜こそチカが泊めてはくれないだろうか、それともやはり藤くんに甘えるか。最早何度目か分からない欠伸を噛み殺し、コーヒーを啜った。

頭部の鈍痛と眠気がありつつも気持ちはとてもすっきりしている。もしかしたら私だけが過去を清算した気になっているのかもしれないが、三井さんは別れ際、本当に会えて良かったと私に握手を求めた。きっと彼も私の亡霊と別れを告げることが出来るだろう。

身支度を整え家を出ると、燦々と輝く太陽が過去との決別を選んだ私を応援してくれるように見えた。

途中、コンビニに寄ってから二日酔いに効くドリンク剤を幾つか購入して会社に向かった。フロアに着いてみると浩志がいかにも二日酔いと言う様子でぐったりとデスクに伏せている。

「おはよう」

なるべく静かにデスクに腰かけながら声をかけた。のそりと上がった顔には眠くてたまらないと書いてある。

「…おう」
「酷い顔だね。昨日も激しかった?」
「俺は今日から酒を断つ」
「…おつかれ」

酒を断ちたくなる程の地獄を見たようだ。そんなことだろうと思っていた訳で、道中購入したドリンク剤を渡してから私もキャップを開け一気に喉に流し込む。

「……お前も昨日どっかで飲んでたのか」
「色々あってギムレットを浴びる程飲みました。当分ジンのボトルも見たくない」
「その割になんかすっきりした顔してるな」
「まあ、ね。都筑は今日からNew都筑だよ」

なんだそれ、と笑いながら頭が痛いらしい。始業まで時間あるから大人しくしてなよ、と告げてPCを立ち上げる。
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