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サイレントエモーショナルサマー
第19章 Renatus
秒針の音がいやに煩い。沈黙が苦しい。動揺した姿を見せてしまった所為かどうしたらよいのか分からなかった。それに繋いだ手を離すこともしたくなかった。
「眠れなくてもベッドで横になりましょうか」
「…うん」
惜しいと思いつつも手を離し、寝間着に着替えた。電気を消して藤くんのベッドに横になる。ああ、お日様の匂いだ。いつだって藤くんの部屋はなんだか心がほっとする。
「……なんか眠れそう、かも」
「ちょっとでも寝てください。明日、ちゃんと起こしますから」
「ありがとう、」
外が既に明るくなり始めているのを感じながらゆったりと目を閉じた。藤くんの手が髪に触れる。すり寄って静かに息を吸いこんだ。