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サイレントエモーショナルサマー
第20章 voce
「藤くん!?ちょっと、重い…っ」
「つれないことするからですよ」

手が肩に触れたかと思うとあろうことか藤くんは全体重を預けて私の上に覆いかぶさった。比較的細身な方の彼だが、やはり身長があるからなのか予想以上に重い。

もがこうにも重たい身体に押さえつけられ手でシーツを叩いて抵抗を示すしか出来ない。無様な私の姿が面白いのか、くつくつと笑う声が耳に響く。

「どいてよ…潰れる…」
「ごめんなさい、は?」
「はい?」
「つれないことしてごめんなさいって言ってくれたら退いてあげます」
「なんだと!」
「早く言ってくれないと俺このまま寝ちゃいますよ」
「無理無理!やだ!藤くんだってセックスしないと寝れないくせに!」
「俺には各種経典がありますからね。我慢できる男なんで」
「くっ…」

藤くんのSスイッチがどこにあるのか私にはまったくもって分からない。ギブギブ!とシーツを叩く手に藤くんの手が重なった。絡まる指先が、ほら早く、と言っている。

「……ごめん」
「そうじゃないでしょ」
「つれないことして、ごめんってば!」
「…10点」
「なにぃ!」
「あなたのことを案じて2日も我慢した俺にツンしかくれないなんて。酷いなぁ」
「…うっ…ごめん、なさい」

まさか藤くんが2日も手を出してこなかった理由が自分の無意識な表情にあったとは思っていなかったのだ。

「つ、つれないことしてごめんなさい…ね、お願い…はやく藤くんのが欲しい…」
「100点満点なんで、たくさんご褒美あげないとですね」

私の耳たぶを噛んでから起き上がった藤くんはそのまま私の手を引いて私のことも起き上がらせた。ご褒美は?と言うように見つめると唇を食まれる。

藤くんの腕に触れ、キスに溺れる。流し込まれた唾液を喉を鳴らして飲み込むと、キスをしながら藤くんがそっと笑う。

「キスしながらもじもじしてどうしたんですか?」
「…言わなきゃダメ?」
「もう今日はデレしか受け付けません」
「………はやくちょうだい」

唇の端に吸い付きながら藤くんの股間へと手を伸ばす。ボトムスの上からでもいきり立っていることがよく分かる。ぴんと張ったそこを手のひらで撫でて、また唇を食む。
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