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第20章 voce

でも、その刺激を与えられるよりも先に藤くんの顔が見たくて仕方なかった。なんとか手を制して身体を捩る。

驚き混じりの頬に手を伸ばして、私から口づけた。ちろりと出した舌に藤くんの舌が触れる。ふ、と息を吐くと私を抱く藤くんの腕に力が入る。

「ベッド行きたい」
「今日はゆっくり寝かせてあげられませんよ」
「いい。ずっと藤くんに触れてたい」
「そんなこと言って志保さん気絶しちゃうから」
「……その時はごめん」
「今のうちに許しておきます」

頬へのキスを合図に藤くんは簡単に私の身体を抱き上げる。ぎゅっと首元に腕を回して、藤くんの優しい匂いを堪能。私はそろそろ藤くんの匂いを嗅ぐだけで発情できるところまできているかもしれない。

「藤くんってほんといい匂いする」
「志保さんは抱き締めるといやらしい匂いがします」
「……それは嬉しくないな」

ベッドに下ろされてからも抱き着いて首筋に鼻先を埋める。藤くんは私の服の中に手を入れて素肌を撫でながらどうしたもんかと悩んでいるように見えた。音を立てて頬に口付けて、耳の付け根にも吸い付く。まるでいつもの私みたいにぴくりと身体を震わせる藤くんが可愛い。

「…それで焦らしてるつもりですか」
「え？きゃっ…！」

防戦一方かと思いきや、あっさり押し倒された。唖然として見上げれば目を細めて笑った顔がある。目尻に触れようとすると、そんなことはさせないよ、と言うように私の首元へ顔を近づける。

鎖骨を舐める舌の感触に溺れながら腹部に触れる手の熱を味わった。ちゅ、ちゅ、と鎖骨にキスを落としてから藤くんの唇は服をたくし上げた腹へと移動する。

「んっ…それ、くすぐったい…」

脇腹を舐める舌は気まぐれに臍に触れる。身を捩ると腰骨のあたりをやわく噛まれた。

「志保さんってほんと噛まれるの好きですよね。俺が噛むと目とろんとしてます」
「い、言わんでいい…」

悔しさと気恥ずかしさで強引にうつ伏せになった。ふうん、そう来ます？と意味深に呟いた藤くんの手が肩に触れる。