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サイレントエモーショナルサマー
第25章 viaggio Ⅰ
膣の締まる感覚はなんとなく自分でも分かっていた。だが、自分の指が中に入っているとその強さは思っていたものとは比べ物にならない。

「ふっ…んっ…っ…」

イカせてくれると言ったのに、自分の指が水を差して気持ち良くても中々イケそうにない。もどかしさで目尻からゆっくりと涙が落ちる。

「んっ…ふじくん…いきたい…っ…」
「いいとこ弄ってイってください」

藤くんがいいって言ったのに。こうなった藤くんは私のおねだりを聞いてくれない。

「いつも、俺がしてるの思い出して」

ね、志保さん、といつもの甘い声。ああ、もう、本当に藤くんはずるい。

長い指が与えてくれる快感を思い返しながら指を動かす。藤くんの指はいいところを避けて周囲をやんわりと刺激しながら彼の右手はクリトリスを優しく撫でる。

気持ち良い所は分かっている。指先で引っかいて、擦って強く押した。暗闇を消し去る閃光。大きく下肢が跳ねて、膝が藤くんの膝にガツンとあたった。

「はっ…はっ……っ…」
「上手。出来るじゃないですか」
「うあっ…あっあっ…だめっ…まってっ…」

頬へのキスと同時に藤くんは私の指を抜かせてから、間を置かず二本の指を私の中へ戻した。クリトリスをいじっていた手は私の口元にきて、そこを覆う。

イったばかりで敏感になり、収縮を続けるそこを押し広げるように藤くんの指が動く。ぬちゃぬちゃと音を立て、次から次へ溢れ出す体液が尻を伝って藤くんの服を汚していく。

「うっ…んっ…」

くぐもった嬌声は藤くんの手のひらに吸収される。抜いて、押し込んで、いいところを擦って。押されれば腰がびくりと跳ねて、白くなった視界をもっともっとと白く染め上げる。

イク、と思った時にはもう絶頂を超えていた。何度も何度も、頂の向こうへ押し上げられるのに熱い身体はその熱に浮かされたままだ。

「すご…さっきからずっとびくびくしてますね」
「んんっ…んっ」

キスがしたい。顔が見たいの。でも、藤くんはきっとそれを分かっていて私の口元を大きな手のひらで覆ったまま、濡れそぼった膣をいじめつづける。

かり、と二本の指先がまたいいところを引っ掻く。もう無理だと思っていたのに、また火花が散った。何度目か分からない絶頂で四肢には全く力が入らない。

破裂しそうな程に煩い己の心臓の鼓動を感じながら瞼を下ろせば、白い波はじわじわと引いていった。
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