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サイレントエモーショナルサマー
第27章 dipendere
「やっぱり、こっちの方がいいですね」
「どっちも…いい…っ…あっ…きもち…」
「こっちの方が動きづらい分長持ちしますし」
「ああっ…あっ、あっ…」
藤くんは器用に体勢を整えて胡坐をかいた。子宮口を押す亀頭はそこを抉じ開けんばかりに奥を目指す。
「藤くん…、ちゅーは…?」
「したいの?」
「ん…したい…あっ…んん…っ…」
首に回していた腕をゆるめて、キスをねだる。触れあった唇は欲情に濡れている。私が彼の下唇を甘く噛めば、彼もそれを真似てくる。
しつこく幾度もキスを繰り返しながら、彼は時々腰を動かして私が嬌声をあげると、かわいい、と言う。髪を撫で、またキスをして。私が快感で涙すればそれを舐める。私は彼の美しい肌を滑る汗の粒に吸い付いた。
「はっ…あっ…んんっ…」
「お尻、震えてますよ。動いてないのにイっちゃうの?」
「イクかも…っ…んっ……」
挿っているだけなのに、藤くんのモノはとてつもない快感を私にくれる。彼は自分がイくことよりも、私がはしたない喘ぎ声をあげて、震える様を見ることを優先したいらしい。
「志保さん、こっち見て」
「……んっ…」
「そんなに泣いて。泣くほど気持ち良いの?」
「うん…っ…あン…っ…」
「俺は複雑ですよ…これがあったからいじめられてたようなもんなのに…これがなければ志保さんに会えなかったし、今こうしてあなたを繋ぎとめておけなかった」
溜息に似た息を吐きながら私の腰を掴んで上下させる。ゆるやかな刺激に強さが増し、ぎゅっと膣が締まると藤くんは苦しそうに呻く。
「…あっ…けっか…おーらい、でしょ…っ…」
息も絶え絶えに言えば、まあそうですね、と耳の中に声。ぬるりと耳を蹂躙する舌の感触にきゅんと膣が反応する。
「もう。どこ触っても締めちゃって」
「…んんっ…だって、はいって…から…あっ…」
気持ちよくて、苦しくて。頭の中はどろりと溶けだす。不安も、悲しみも、暗いものはなにもかも全てこの行為の間は私の中から出ていく。
戻りたくない。気持ち良いと喘いで、藤くんの肌の熱だけに沈んでいたい。縋りついて、キスをねだって、彼の頬を手のひらで覆った。ああ、どうして。藤くんが私に当たり前のように告げる言葉を私は上手く言うことが出来ないのだろう。