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サイレントエモーショナルサマー
第4章 日曜日は苦みを少し
予定がない限り、日曜はアラームの類が一切鳴らないようにしている。目覚めるまま目覚めて起き抜けに煙草を吸って濃いコーヒーを飲む。
出掛けたくなれば出掛けるし、本を読んで過ごしたり、だらだらとテレビを見て過ごすこともある。
夏以外はもう何年も一人でこうして過ごしている。時には誰かの家やホテルでセックスに興じていることもあったが大抵日曜は予定を入れないようにしていた。
「まだ足痛い…」
なにも予定を入れず気ままに過ごす日曜は大好きだ。だが、今日は少しばかりいつもと違う。
お気に入りのソファーにぐったりと沈み込んで煙草を吸う。じりじりと灰になっていくのをぼんやり見つめながら痛む股関節を擦る。
自宅へと戻ったのは1時間ほど前だ。結局、藤くんは宣言通り昨日も私を帰らせてはくれなかった。
会社に遅くまで残る時にデスクで食べる姿を覚えていたようで彼は私が好んで食べている小さな親子丼を買ってきてくれた。ソファーで並んで食事を取って、シャワーを浴びた。
もうどうにでもなれとかろうじて残っていたどろどろの化粧も落として部屋に戻ると彼は私のすっぴんはちょっと幼くなってかわいいと大興奮。
藤くんに髪を乾かして貰って、彼がシャワーから戻るのを待つ間、普通のカップルはこんな過ごし方をするのだろうかとなんとなく想像した。浩志の家に泊まる時も、彼が私の家に泊まる時も一度もそんなことを想像しなかったのになんだか不思議だ。
その後はふたりで寄り添って眠った。流石に寝る前にはもうセックスはしなかった。
― なんだかなぁ…
これで、良かったのか。私は大満足だ。股関節は痛いけれど、俗にいうイケメンと三拍子どころか四拍子、五拍子と揃ったイチモツを堪能できたのだから。