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サイレントエモーショナルサマー
第6章 slow-acting
◇◆
お日様の匂いだ。藤くんの部屋は幼い頃の温かい記憶を思い出させる。良く晴れた日に干した布団の眠気を誘う香り。先に会社を出た藤くんとは彼のアパートの最寄駅で合流した。手を繋ぎたいと言われ拒否するとしゅんとしょげた可愛らしい顔になった。
今、その可愛さは消え去って彼は飢えた獣の如き顔をしている。ソファーに座った藤くんの足の上に跨ってしつこく何度も何度もキスをする。日中に会社で迫ってきたのを躱したから喪失を取り戻すように軽く唇同士を触れ合わせたり、舌を絡ませ合ったりとにかくどろどろになるまで彼の唇を貪った。
藤くんの首に腕を回して口付けながら彼の髪を柔く掴んでかき撫でる。彼の腕は私の身体を支えながら、空いた手はひっきりなりに尻をさすった。
「キスしてるだけなのに目とろんとしてますね」
耳たぶを噛み、耳の穴に息を吹き込むように囁かれてびくりと身体が反応する。今度は軟骨を噛んで、形を確認するように窄めた舌先が丁寧に耳を舐めあげていく。ぴちゃぴちゃと唾液の音が大きくいやらしく聞こえて私の口からは嬌声がもれる。耳の付け根を強く吸われると気持ちが良いなんて初めて知った。
「耳、もうやだ…」
「顔真っ赤にして言われても説得力ないですよ」
「キスの方がいい。もっとして」
「…いくらでも、」
舌を出して挑発。彼も舌先でちょんとつついてから甘く食む。吸い寄せて、絡ませて、私の口内へ侵入。上顎をなぞり、歯の一本一本を奥からなぞっていく。尻をさすっていた手は太腿を滑り、スカートの裾に触れた。膝を撫でる指先がこそばゆい。