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サイレントエモーショナルサマー
第6章 slow-acting

ごくりと喉を鳴らして触ろうとするとぱしんと手を叩かれた。ボクサーはボトムスと同時にさっさと脱ぎ捨てて放り出す。ぬらぬらと先走りに濡れ、張りつめたモノに触ろうとする私の手を制しながらベッドサイドの棚に手を伸ばす。

「志保さん、俺のお願い聞いてくれます?」
「きく、きくから…はやく、」
「じゃあ、俺が合図したら目瞑って10秒数えてください。手は体の横」
「あいず…?」
「そう。志保さんが大好きな合図」

もうなんだっていいから滾る熱を打ち付けて欲しかった。こくこくと頷けば、満足そうに笑って髪を撫でてくれる。

「いい子ですね」

綺麗な顔が迫ってくる。ああ、そうか、キスだ。分かった時にはもう唇は触れていた。なぜだか藤くんの顔を見ていたいと思ったけれど静かに瞼を閉じる。

かち、こち。時計の秒針の音が聞こえる。触れ合わせただけのキスで吐息を交わしながら頭の中ではゆっくりとカウントダウン。


10、


9、


8、


7、


6、


5、
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