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サイレントエモーショナルサマー
第7章 erosione
週の終わりにはまた藤くんの家に泊まり、どろどろに溶けて、彼の腕の中で眠った。翌朝、下腹部の違和感で目が覚めると藤くんは浅い挿入を一気に深くして私を泣かせた。
◇◆
「…藤のやつ、女でも出来たのか」
稀にある出張がなければ今までは2日と空けず浩志と飲みに行っていたが、藤くんとセックスをするようになってから数日ぶりにふたりで飲んでいると浩志はぽつりと言った。3杯目の生ビールが終わりかけた頃だった。
「……え?」
「ほら、ここんとこあいつお前に好き好き言わなくなったろ」
鋭い発言に手にしていたレモンサワーのグラスを取り落しそうになった。いかんいかん、と平静を装ってグラスを置き、長芋の漬物へ箸を伸ばす。気付くのが早すぎだ。
確かに藤くんは会社で私に好きだとは言わなくなったが、隙を見ては私にキスをして去っていくようになったので現状は悪化していると言えた。
もっと言うと2日前には給湯室に引きずり込まれ、今日うちに来てくださいね、と耳たぶを噛まれたりもしている。その日は例年より遅い梅雨入りが発表された日だったことを思い出す。
「藤くんの話はいいよ。それよりさ、この間買ったって言ってた本どうだった?」
「ああ、あれは面白かった。読むなら明日持ってきてやるよ」
「やった。ありがと」
1ヶ月だとか1年だとかそこまでの長い時間があった訳ではないし、会社では顔をあわせていたのに浩志とこうやって話すのが物凄く久しぶりのような気がして懐かしさに似たなにかを感じる。
厚揚げの煮物に入っていた絹さやが嫌で浩志の方へよけると、ふざけんなよと言いながら全部食べてくれた。