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サイレントエモーショナルサマー
第7章 erosione
割りばし片手に惣菜に夢中の私を余所に藤くんは私の腰に腕を回し耳に声を吹き込んでくる。ぞくぞくするから辞めてくれ。こそばゆさに身を捩ってから振り返ると藤くんの顔は獣の顔になっている。
「何時までいて欲しい?」
「ずっと居てください」
「残念。明日はお友達とお約束がありますので昼には失礼します」
「……セックスするお友達じゃないですよね?」
「それはどうかなー」
ちゅ、と頬に口付けてから惣菜に向き直ると抱かれた腰を浮かされ、藤くんの太腿の上に座る形になった。
「藤くん、折角あっためてくれたのに冷めちゃうよ。お腹すいてるでしょ」
「葛藤で空腹はどこかへ行きました」
「ごめん、からかった。明日会うのは女性だから。ね」
腰に回る腕をぽんぽんと叩く。渋々と言った感じで拘束を解くと私を乗せたまま割りばしを手に取った。
食事を取って、シャワーを浴びて、このまま寝るのかもと思いきやまたセックスをした。初めてした日のように意識を手離しそうになった瞬間に闇が私たちを覆った気がしたけれど、そんなものは気のせいであればいい。