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サイレントエモーショナルサマー
第7章 erosione
泊まるつもりの日はちゃんと下着を持ってきているのに藤くんは必ず自分のパンツを穿かせる。返しそびれた彼のパンツが自宅には数枚あるのだった。いつか持ってこなければ。
キッチンのある廊下へと続く扉を開け放し、藤くんは玄関にほっぽりだしたままだった惣菜を電子レンジで温め始める。レンジの前の藤くんに近寄って顔を見上げる。
「…中原さんだけはダメですよ」
「なんでここで浩志?浩志とはこうはならないってば」
「どうだか。ああ、あと、他の男の気配残して俺に抱かれる時は覚悟してくださいよ」
「覚悟…?なにそれ恐いな」
「ま、その時になってみないと自分でもなにするか分かんないですけど」
「……あ、頭の片隅にいれとくね」
「そこで、じゃあ他の人とはしないって言わないとこが憎いです」
やっぱり監禁ですかね、と微笑んで抱き締めてこようとする腕から咄嗟に逃げた。ち、と舌を打つのは初めて見た。
廊下でくしゃくしゃになった衣類を拾い上げる。トップスは乾いていて染みなどはなかったけれどまだほんのりとジュースの甘い香りがする。
「服、ごめんなさい。大丈夫でした?」
「うん、染みとかついてないし。明日着て帰るトップスは持ってきてるから」
温め終えた惣菜をローテーブルへと運ぶ藤くんの後ろをちょこちょことついていく。先にソファーに座って、隣をぽんぽんと叩き示されそこに腰を下ろした。
「…明日、何時まで居てくれますか」