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恋のフィロソフィー
第1章 人殺しの顔は、
「この殺人鬼はもう一人の僕なんだよ」
‥‥‥え?
「先生って二重人格なんですか?」
「いやそうじゃなくて」
あ、違うんだ。
理解力が乏しい私は単純にしか考えられなかった。
先生は笑いながら“もう一人の僕”の意味を教えてくれた。
「二面性ってこと。今の僕が光の部分ならこの絵は影の部分。こういうことしたいって思う悪い僕が中にいるってこと。だから顔がないんだ。僕自身もう一人の僕を出した事ないから顔を知らない」
「‥‥‥‥」
「よく分かってないでしょ?君」
「難しすぎてチンプンカンプンです」
やっぱり芸術系の人の考えは分らない。
言い回しもまどろっこしくて難しい。
もっとシンプルに話せないのかな。
自分頭いいですアピール?
とりあえず分かったことは先生は誰かを殺したいってこと。
要はサイコパス的な面を持ってると。
「簡単に言えば先生は誰かを殺したいってことでしょ?誰を殺したいか教えてくださいよ」
直球で笑いながら聞いてみる。
すると先生は黙り込み私から目を逸らした。
さすがに直球過ぎたようだ。
生徒に誰を殺したいかなんて、言うわけないし言える訳がない。
気まずい雰囲気を作ってしまった。
口が出すぎたと反省した私は一言謝ろうと口を開いた。
「す‥‥‥」
『すいません』、その言葉の最初の一文字を口から出した瞬間チャイムが美術室に響いた。
進学クラスの授業が終わった合図だ。
教室の壁に掛かる時計に目をやるとあれから30分経っていた。