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冷血な獣
第2章 冷血人間の彼女
よくそんな平気で言えたものだ…。そういえばたまに陰で女性職員達からサイボーグとか呼ばれているっけ。それは美形の意味もあり、性格が冷た過ぎるという意味も含まれているけど、今納得した。
「妃南、昨夜の事を謝るつもりはない。言ったが、妃南を俺の恋人にしたい」
龍河さんは立ち上がって、私の方へ近付いてきた。白のTシャツにジーンズとラフな格好。こんな休日の龍河さんを見るのは初めてだ。
「お前に断る権限はない」
「何を勝手な事言ってるんですか…! 私を恋人にしたいって…理由は何ですか?」
龍河さんが目の前で立ち止まると、驚きながら質問する。
「理由。そんなものない」
少しも表情を崩さず答える龍河さん。その真剣な瞳でじっと見つめられると、怯んで一歩後退りしてしまった。
「えっ…」
「恋人にしたいからする。それだけだ」
そんな横暴が罷り通るわけないのに、逆らえないのは龍河さんが上司だからだろうか。
「気に入らないなら、警察を呼ぶか? 昨夜俺から襲われたと通報したら良い」
「いや、そこまでは…」
淡々と話されると、私は途中で言い詰まる。まるでご主人様に使えるメイドや、鬼教官を前にした生徒になったような気分だった。
「じゃあ、お前は今日から俺の彼女だ。良いな?」
冷たく言い放った龍河さんの顔を見ながら一瞬私がときめいてしまった事に、きっと龍河さんは気付いていない。