この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
冷血な獣
第2章 冷血人間の彼女
* * *
リビングの光景を目の当たりにすると、すぐに寝室から出た事を後悔した。足を組んでソファに座っている龍河さんは、私に気付くと私の方を振り返る。
「おはよう、妃南」
まさかの名前呼び! …いや。そうじゃなくて。
「龍河さん…昨日の事覚えてるんですか?」
お酒に相当酔っていた筈。だから全部覚えていないよね? 全部、なかった事に出来るよね…?
「覚えているに決まってるだろ。俺は酒に溺れん。今まで酔った事はない」
「いや、昨日酔ってたじゃないですか!」
「昨日…?」
「Barの前で酔ったから、マンションまで連れて帰ってくれって頼んだでしょう!」
「ああ…あれか」
考え事をするように顎を掴むと、龍河さんは淡々と言い放つ。
「あれは妃南を部屋に連れ込む為の嘘」
「…嘘?」
「何だ。信じたのか? あんな手に引っかかるなんて、お前幼稚だな」
微塵も笑わない瞳で冷たく見つめられると、私はソファの後ろに立ったまま唖然とした。