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冷血な獣
第9章 よんかく

振り向かせたいとか諦めないと豪語しながら、少しも龍河さんの心を掴めなかった。

諦めなければ恋は叶う。そんな言葉は嘘だ。

いくら頑張っても叶わない事はある……。


「もう私、龍河さんと会えないんですか?」


方針状態で隣に立っている鷺沼さんへ問い掛けると、鷺沼さんから淡々とした返事を返される。


「会えない事はないですが、今度会う時はもうお互い他人です」

「他人……?」

「貴方は椿様の夫となられた灯さんを、灯さんは妻以外の他人である貴方を、偶然街で見掛けるぐらいです」


律儀に話す鷺沼さんの言葉が、耳に入って来ない。
耳を疑う様な話をされているというのに、


「言っておきますが、これからはお二人が会わない様に私が監視します」


今置かれているこの状況が現実ではない様で、すぐには受け入れられなかった。



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