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冷血な獣
第9章 よんかく

* * *

翌日の朝になると、更に驚く状況が待っていた。


「隣に引越してきました。これよろしければ……」


部屋のインターフォンが鳴ったので玄関のドアを開けると、部屋の前に菓子折りを持った鷺沼さんが平然と立っていた。
昨日とは違う黒のスーツ姿で。


「いや、あの、鷺沼さん……何してるんですか?」


私が呆然としながら問い掛けると、真剣に答える。


「昨日言いましたよね? お二人が会わない様に監視すると」
「その為に隣に引越してきたんですか!?」
「ええ」


……普通じゃない。
このままドアと鍵を閉めたらどうなるだろうか。


「佐伯 妃南さん。よろしくお願いします」


無表情で、冷酷にじっと私の顔を見つめる鷺沼さんに、私は一瞬ゾッとした。

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