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冷血な獣
第9章 よんかく

……やっぱり私の気持ち、バレバレ。

まずい。鷺沼さんは龍河さんへ好意を抱く異性を排除しようとしているのに。


「……好意を抱いちゃダメですか?」

「ダメです」


恐る恐る質問する私へ、鷺沼さんはきっぱりと言い放つ。


「どうしてですか? 人が誰かに好意を抱くのは自由です」

「……だけど、ダメなんですよ。灯さんにだけは」


負けじと私が真剣に話すと、そのまま私の方へ近付いてくる。

ゆっくりと冷静な態度で、普段となんら変わりない。

しかし瞳からは闇を感じ、言葉が鷺沼さんの奇怪さを物語る。


「ショック療法をしてでも、忘れて貰わないと」


狂気の混じった瞳。脅す様な低い声。

ショック療法という言葉に、私は薄気味悪さを感じた。



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