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冷血な獣
第9章 よんかく

「ショック療法って……」

「灯さんの事を忘れる為ですよ。頑張って下さい」

指輪ケースを手に持ったまま私の前で立ち止まると、鷺沼さんは冷淡に言い放つ。
そして、突然私の唇を自身の唇で深く塞いだ。

「……ンンッ!?」

……なに? これは。何が起きてるの……?

ショックが大き過ぎて、頭が真っ白になる。

しかし目の前には、近すぎる程の鷺沼さんの顔。

その瞳は冷酷に私を見ていたけど、すぐに閉じた。


「ンンッ……ンッ……」


ショック療法って、龍河さん以外の異性と触れ合う事だろうか……。
でもこれって、鷺沼さんにメリットはない筈。
ここまでして龍河さんに私を近付けない様にしなくちゃダメなの? 社長の秘書だから? 理解出来ない……。





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