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冷血な獣
第9章 よんかく
そっと触れる優しい手。義務的なキスとは反対に、人間味のある暖かさがこもっている様な気がする。
「こんな事をして簡単に忘れられるわけないじゃないですか!」
反抗的な目付きで話すと、真剣に言い返される。
「それならもっと濃厚な事をしますか?」
……濃厚な事? ただでさえ今のキスで意識は朦朧として余裕が無かったのに。これ以上の事をされたらどるなるか分からない。
「冗談はやめてください……」
プイッと鷺沼さんから顔を背ける。
と、すぐにふふっと可笑しそうな笑い声が耳に入った。
「では、また。明日来ます」
そのまま起き上がると、スーツのジャケットと指輪のケースを持って立ち上がる。
そして鷺沼さんはリビングから出て、玄関の方へ歩いていった。