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冷血な獣
第9章 よんかく
「ンッ……ハァッ……」
食むだけだった口づけが、急に口内へ舌を差し込まれると、全身ゾクゾクと痺れ出す。同時に腰へ右手を回され、ぐいっと体を引き寄せられると、もて余していた両手で鷺沼さんのシャツの腹部辺りを掴んだ。
「ンンッ……」
立っていられない……。息をつくのも苦しくて、このまま倒れそう。
「ンッ……くっ……」
そのまま舌に翻弄されながら耐えていると、漸く唇を解放されて、呼吸を乱しつつよろめく。
「ハァッ……ハァッ……」
そんな私をソファに座らせて、鷺沼さんは平然と話した。
「知っていますか? 灯さんは一度別れた女性とヨリを戻しません。だから貴方とも、また付き合う事はありません」
「そんなの言われなくたって……」
「言わないと期待するでしょう? 待っても無駄です。灯さんは……」
そこまで鷺沼さんが言いかけると、突然部屋のインターフォンが鳴った。