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冷血な獣
第10章 無自覚
「大丈夫ですか!? 酔ってますよね……?」
まさか龍河さんがお酒に弱いなんて。意外。
「酔ってなどいない」
肩にもたれ掛かったまま、再び缶ビールを飲む龍河さんを見て、ぶほっと咳込む。
「何処触ってるんですか!?」
「周りのカップルだってイチャイチャしてるだろ」
「だからって……」
うぐっと言い詰まった。……だからって、急に手を繋ぐなんて。しかも、恋人繋ぎときた。私の太腿の上で、龍河さんの手によって、優しく包まれた手。
「龍河さん……」
何を考えてるんだろう。キスを嫌がったり。私のところへ逃げてきたり。手を繋いだり。
「キスして良いですか……?」
これはまた嫌がられても、仕方ないよね……。じっと龍河さんを見つめながら、答えを待つ。
「ああ……」
缶ビールを飲み終えて龍河さんが返事をすると、私はそのまま龍河さんの方へ顔を近付けた。