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冷血な獣
第10章 無自覚

「やっぱり……! どういうつもりですか!?」


危うくまた騙され掛けた! どうして酔ったふりなんか!


「それはこっちのセリフだ。この淫乱魔女め!」
「淫乱魔女……!? 誰がですか!」
「お前に決まってるだろ!」


……わけが分からない。何故罵られないといけないんだろう。怒ってる様な言い方をする龍河さんが、不思議でならなかった。


「いつもいつも、俺を誘惑する。会社でも、マンションでも、そして今も!」


ぶしゅうっ!と握り潰した缶からビールが、目の前の噴水の様に吹き出る。


「誘惑した覚えはないですけど……」


その光景を見ながら私が首をひねると、龍河さんはワナワナと体を震わせた。


「あの時も気付くとお前をベッドに押し倒していた……初めは気にしていなかったが……あの事件があってから佐伯が魔女だと気付いたんだ……」
「あの事件……?」


って何だろう。目をパチパチと瞬きさせて、続きを聞く。


「結婚願望は皆無で、結婚する奴なんかクソだと思っていた俺が……無意識に指輪を買っていたんだ!」
「指輪……」


指輪ぐらい買うのは普通だ。そう思った。けど。


「ルンルン気分で指輪を買った後、冷静さを取り戻して気付いた……俺は何しているんだと……」
「それってまさか……」
「婚約指輪を買ったんだ……佐伯の為に」


龍河さんの話を聞いて、一瞬茶織先輩の話が浮かんだ。……そういえば茶織先輩が言ってた。龍河さんがジュエリーショップに入っていくのを見たと。


「甘い言葉を吐くまでは良かったんだ。だが指輪まで買うとなると、俺は自分が信じられなかった……」
「だから私と別れたんですか……?」


質問しながら龍河さんと目を合わせる。


「悪いか? 俺はそういう男だ。結婚は一生しない。誰とも」


その瞳は冷血な獣の様で。凍り付きながら、太腿の上に乗った両拳をきつく握り締めた。

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