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冷血な獣
第10章 無自覚
「……ンッ……」
強引に舌を口内へ押し込み、舌に絡めると。そのまま鷺沼さんはゆっくりと唇を離した。
「忘れないで下さい。灯さんは椿様の婚約者だということを」
悪魔の様な瞳で捕らえられると、背筋が凍り付いた。
……そうだった。
この人は仕事の為なら何でも出来るんだ。
私を拉致しても、何とも思っていない……。
「こうした方が手っ取り早いですね。貴方を私の恋人にしてしまえば、貴方はもう二人の邪魔が出来ません」
「恋人……?」
何を言ってるの。この人。
恋人って……
恋人!?
「不満じゃないでしょう? 灯さんより、実際に優れているのは私の方ですからね」
「いや、ちょっと待って……鷺沼さん、何を言ってるのか分かってるんですか?」
「ええ」
にっこりと微笑む鷺沼さんから、頬を撫でられる。