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冷血な獣
第10章 無自覚

……分かりやすいな、この人。


「飴を急にくれるなんておかしいです」
「私が信用出来ませんか?」
「出来るわけないじゃないですか!」


私を拉致しておいて!


「ふふ。反抗されると、どうしてでも食べさせてやりたくなりますね」
「食べません! 絶対そんなの……!」


飴から顔を背ける。
しかし、ぐいっと強引に顎を掴まれ、正面を向かせられると、そのまま口付けられた。

瞬間、口内から感じ始める甘い味。


「んぐっ……」


すぐ口付けると同時に、鷺沼さんが自身の口に含んだ飴を押し込んできたんだと分かった。
しかも苺味じゃなくて……これミントだ!


「ンッ……あっ……」


目を薄く開け、至近距離にある顔を見つめる。
軽く口を開いたまま舌をいやらしく舐められ、ゾクッと鳥肌が立った。


「ンンーッ……」


ちゅるっと舌を吸い上げられると、唇を離される。
すると、ゴクンと飴を飲み込んで、そんな私を見ながら鷺沼さんが余裕そうに笑んだ。
その声を聞くと、私の意識がまた遠退いていく様な気がした。


「軽い餌付けです。もう貴方は私から離れられませんよ」


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