この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
冷血な獣
第10章 無自覚
……分かりやすいな、この人。
「飴を急にくれるなんておかしいです」
「私が信用出来ませんか?」
「出来るわけないじゃないですか!」
私を拉致しておいて!
「ふふ。反抗されると、どうしてでも食べさせてやりたくなりますね」
「食べません! 絶対そんなの……!」
飴から顔を背ける。
しかし、ぐいっと強引に顎を掴まれ、正面を向かせられると、そのまま口付けられた。
瞬間、口内から感じ始める甘い味。
「んぐっ……」
すぐ口付けると同時に、鷺沼さんが自身の口に含んだ飴を押し込んできたんだと分かった。
しかも苺味じゃなくて……これミントだ!
「ンッ……あっ……」
目を薄く開け、至近距離にある顔を見つめる。
軽く口を開いたまま舌をいやらしく舐められ、ゾクッと鳥肌が立った。
「ンンーッ……」
ちゅるっと舌を吸い上げられると、唇を離される。
すると、ゴクンと飴を飲み込んで、そんな私を見ながら鷺沼さんが余裕そうに笑んだ。
その声を聞くと、私の意識がまた遠退いていく様な気がした。
「軽い餌付けです。もう貴方は私から離れられませんよ」