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冷血な獣
第10章 無自覚

「はぁっ……ダメです……もう……」


両手を動かす度に形を変える下着。淫らに響く蜜の音。喘ぐ声。漏れる吐息。

自分が人の前でこんな事をするなんて、自分でも信じられない。それもまさか鷺沼さんの前で……。


「して欲しいんです……どうか、もっと……」


淫らな事を。そう続けたくても、私は下の唇を噛む。言ってしまえば楽になる。だけど脳裏に龍河さんの顔が過って、我慢するしかない。


「可愛いですよ。妃南さん。本当に私のものにしたいぐらい」


鷺沼さんからクスッと笑われると、恥ずかしくなり顔を両手で塞ぎたくなる。


「灯さんの前でもそんな顔をしていたんですね。もう、させませんけど。今頃灯さんも椿様と……」


続けて話した言葉を聞くと、私は一瞬我に返った。
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