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冷血な獣
第2章 冷血人間の彼女
* * *
龍河さんが会議室へ入って行くと、私も無言でついていった。中には会議の為、幾つかの机が一つの四角い輪になるよう並べられている。人は誰もいない。静かで、龍河さんが私の方を振り向いて立ち止まると、質問する私の声が先に響いた。
「あの…龍河さん、お話って…?」
「妃南。俺はな、彼女の浮気を許せる程心が広い男じゃない。かと言って、他の男にお前を易々と渡すつもりもない」
無表情でキッパリと言い放つ龍河さん。やっぱり怒ってるみたい…。どうしよう。どうやって誤解を解こう…。
「いや、さっきの話はですね、茶織先輩が…」
焦りながら話すと、急に龍河さんから右腕を強く掴まれた。
「どうしたら俺だけに向いてくれる? 俺はお前以外、考えられない」
…そんな事を思っていてくれたんだ。
真剣な目で見つめられながら、私は嬉しくなる。だけど早く誤解を解こうと、必死に続ける。
「いや、だからあの、違うんです…」
「妃南を見ると自分が抑えられなくなる。こんな事、生きてきて初めてだ。この感情は何と呼べば良いんだ?」
龍河さんが掴んでいる私の腕へ更に強く力を込めながら、不思議そうに質問すると私は言葉を失った。