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冷血な獣
第10章 無自覚
これってやっぱり、さっきの飴のせい……? 頭がぼーっとして、体が熱い。
ベルトを外し終えて、スーツのズボンを下げようとすると。
同時に、鷺沼さんの携帯が鳴った。
「……はい。鷺沼です」
手を止めて、私は電話に出る鷺沼さんへ視線を移す。
「ええ。分かりました」
すぐに鷺沼さんが電話を切ると、そのまま手をスーツから離した。
「すいません。呼び出しです」
「呼び出し……? 誰からですか?」
「椿様です」
身なりを整えると、ベッドから立ち上がる。
すると鷺沼さんは部屋のドアへ向かって、歩き始めた。
「すぐに戻ります。ここから動かないで下さい」
「……」
「その状態では、何処へも逃げれないでしょうけど」
床に座りこんだ私を冷淡な瞳で見つめると、そのまま部屋から出ていく。
そんな鷺沼さんに、私はぼんやりとしたまま何も返す言葉が見つからなかった。
確かに下着姿で、まだ体の疼きが収まらないままでは何処へも行けない。
「はぁっ……誰か……」
この疼きを静めて。誰か助けて。
私はゆっくりとベッドに両手をついて、立ち上がる。
そしてくらくらと眩暈のする体で、ドアへと歩き始める。