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冷血な獣
第10章 無自覚
逃げれない事は分かっているけど、体の疼きが強く、理性を保つ事は既に出来なくなっていた。
「うっ……」
ドアノブに触れ恐る恐るドアを開くと、廊下へ出る。
そして行く当てもなく、ふらふらしながら暗がりに鼓動を早めつつ進んだ。
* * *
まるでホテルの様に広くて長い廊下をまっすぐ進むと、突き当たりが見えた。
確かここって……初めに連れてこられた部屋だ。
ということは、その隣の椿さんの部屋に龍河さんがいるかもしれない。
鷺沼さんがそう言っていた筈。
「はぁっ……」
突き当たりにある窓から射し込む月明かりに照らされ、私は初めに連れてこられた部屋の隣のドアを開ける。
そして静寂な廊下にカチャッと重たいドアの開く音が響くと、中へ足を踏み入れた。