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冷血な獣
第10章 無自覚

離れろなんて、酷過ぎる……。


「魔女め! また誘惑するつもりだな!」


両肩を掴んだ両手で体を引き離されると、私は否定した。


「そんなつもりじゃ……体が勝手に……」
「その格好で俺に触れるな! 誘惑するな!」


別に誘惑しているつもりはない。
ただ体が疼いて、龍河さんを前にしたら触れたくなっただけ。
鷺沼さんよりもずっと強く。


「……ごめんなさい。無理です……」


私は龍河さんの顔を両手で包むと、そのまま申し訳なさそうに口付けた。


「っ……」


目を見開く龍河さんも、うっとりと見つめ。


「何をする……んっ……」


一度拒まれ顔を引き離されようが、追いかけてまた唇を塞ぐ。
そして眉間にシワを寄せる龍河さんの顔を掴んだまま、チュッ……チュッ……と上下唇を吸い上げた。

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