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冷血な獣
第10章 無自覚
「ンッ……ふぅっ……」
苦しい……。舌も、唇も、体も、全部熱い。でもやめたくないし、もっと……。
「今日だけ誘惑されてやる」
唇を離して龍河さんが冷淡に言うと、私はまた体に抱き付いてピタリと頬を胸につけた。
もっと繋がりたい。龍河さんと。触れるだけじゃ足りない。嫌われて、酷い事をされても良いから……。
「お願いします。今だけで良いから、付き合っていた頃の様に……」
そこまで言い掛けると手を引かれ、部屋の端の方へ歩き始めた。
その先にはキングサイズ程の大きいベッドがあり、ぼんやりとしたまま連れて行かれると、上へ押し倒される。
普段なら戸惑う筈だが、今はそんな事より早く触れたいという気持ちが強く、覆い被さってきた龍河さんの首へ両手を回し、物欲しげに見つめた。
「龍河さん、早く……」
「……佐伯、お前」
真剣に顔を見下ろされると、心が高鳴った。