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冷血な獣
第10章 無自覚
「お前の様な女と一度でも付き合っていたとはな……こんな淫乱だったとは……」
ハッと鼻に掛けて笑われると、私は一瞬ショックで口ごもる。
こんな姿を見せるのは、相手が龍河さんだからだ。
それなのに、肝心なことにいつも気付いてくれない。
「この……鈍感……」
朦朧とする意識の中、ボソッと呟く。
すると、
「誰が鈍感だ! 何が鈍感だと言うんだ!」
怒られて、顔を悲痛に歪めながら続けた。
「貴方にフラれた日から、私は貴方しか想ってません……貴方が結婚とか、ちっぽけな事でフッた日から、貴方の事しか……」
理由がどうであれ、私はやはりこの人が。
何故かこの人が。
ちっぽけな貴方が。
「……もう分かった。もう良い。もう黙れ」
龍河さんはそのまま私の唇へ口付ける。
心無しかさき程より優しく、あやす様に触れるだけ。
それを何度か繰り返し、申し訳なさそうに謝った。
「結婚を理由に別れた事はすまない。だけど俺は……」