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冷血な獣
第10章 無自覚
「じゃあ灯さんは、私と……」
そう言いながら椿さんが、嬉しそうに龍河さんの腕へ抱き付く。
「……」
龍河さんは無言で、鷺沼さんに連れられて部屋を出ていく私をずっと見ていた。
……何でこうなっちゃうの。
いつも、上手くいかない。
私は本当恋に向いてない。
好きな人とは結ばれない運命なのかもしれない……。
* * *
そのままさき程いた部屋へ鷺沼さんと入ると、鷺沼さんが話し出す。
「ここを妃南さんの部屋にしますね。私と一緒の部屋でも良いですが、初めは一人の方がよく眠れるでしょうから」
ドアの前に立つ私の方を振り返りながら、ニコッと微笑む。
「……また灯さんに失恋したんですね。大丈夫ですよ。これからは私が側にいますから」
伸びてくる両手に体を包まれると、ほっと安心した。
「おやすみなさい」
そのまま離れていく鷺沼さんの体温と香り。
……どうしよう。一人じゃ止められないのに。
「鷺沼さん……体が疼いて辛いんです……助けて下さい……」
ドアへ向かって歩き出そうとする鷺沼さんの腕を掴み引き止めると、ぼんやりとしたまま冷静な顔を見る。
「……そうでしたね。まだ残っているとは、効きすぎる体なんですね」
……残っている? 効きすぎる? 何を言ってるの?
「大丈夫ですよ。私がすぐ楽にしてあげます」
そのまま顎を掴まれ、塞がれる唇。
すぐに舌が口内へ侵入してくると、ガクンと膝から崩れそうになる。