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冷血な獣
第12章 強敵
「温泉ですか……?」
以前付き合っていた頃から、龍河さんと一緒にお風呂へ入った事ないんだ……。
誘われても私の身が持たなくて断っていたから……。
「まだ一緒に入るのは緊張するか?」
「…緊張はしますけど。入ります」
以前の頃より、もっと龍河さんに近づきたい……。
自然と私はそう考え、ドキドキしながら答えていた。
そしてそのまま入浴の準備をして、民宿にある温泉へと向かった。
* * *
「あの、龍河さん……」
「何だ?」
「この格好、逆上せそうなんですが……」
貸切りの温泉へ入ると、龍河さんに後ろから両腕をお腹の前に回され、緊張ですぐに根を上げる事となった。
露天の岩風呂も気持ちよいのに、ゆっくりと休む暇もない。
「っ……」
「久しぶりなんだ。我慢しろ」
我慢しろと言われたって。
「ぁっ……」
そのままぎゅっと抱き締められ、うなじに口付けられると、甘い痺れが全身を襲う。
「妃南も、こうしたかっただろ?」
「う……ぁっ……」
「俺はもう自分に嘘はつかない。妃南とずっとそばにいたい」
耳元で質問され、うなじを繰り返し吸い上げられると、チュッ…チュッ…と小さく水音が響いた。