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冷血な獣
第12章 強敵

当然目の前には、不機嫌そうに顔をしかめた龍河さんの姿。


「…これは。偶然、会ったもので……」


私が硬直して話すと、龍河さんの方を振り返り、りょう君がニコッと笑った。


「俺達、幼馴染なんです。幼稚園の時まで同じアパートだったんですけど、偶然再会して」


嫌な空気にだけはなって欲しくない。

そんな願いが通じたのか、龍河さんは落ち着いた様子で返事を返す。


「そうか。妃南の幼馴染で再会したのか。だったらまだ二人で話すか? 妃南、俺は部屋に戻っているからな」

「…いえ。俺ももう部屋に戻りますから」



龍河さんが部屋の方へ歩き出そうとすると、
りょう君も龍河さんの反対方向へ歩き始める。


「またね、妃南」


私に笑顔を見せて。

その言葉に私は「うん」と返事をすると、
静かになった廊下で龍河さんに視線を向けた。


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