この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
冷血な獣
第12章 強敵
当然目の前には、不機嫌そうに顔をしかめた龍河さんの姿。
「…これは。偶然、会ったもので……」
私が硬直して話すと、龍河さんの方を振り返り、りょう君がニコッと笑った。
「俺達、幼馴染なんです。幼稚園の時まで同じアパートだったんですけど、偶然再会して」
嫌な空気にだけはなって欲しくない。
そんな願いが通じたのか、龍河さんは落ち着いた様子で返事を返す。
「そうか。妃南の幼馴染で再会したのか。だったらまだ二人で話すか? 妃南、俺は部屋に戻っているからな」
「…いえ。俺ももう部屋に戻りますから」
龍河さんが部屋の方へ歩き出そうとすると、
りょう君も龍河さんの反対方向へ歩き始める。
「またね、妃南」
私に笑顔を見せて。
その言葉に私は「うん」と返事をすると、
静かになった廊下で龍河さんに視線を向けた。