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冷血な獣
第12章 強敵
* * *
「はあっ……」
庭に向かうと、ため息を吐く。
あんなに落ち込ませるなんて思ってもいなかった……。
どうしよう。すぐにまたいつもの龍河さんに戻ってくれるかな?
そのまま庭を10分程散歩して、民宿の方へ向き直った。
…そろそろ戻ろう。
しかし。
「何処へ行くんですか?」
何処からともなく聞こえてきた声に、
ピタリと身動きを止める。
えっ……この声って。
「1週間ぶりですね」
雲一つない快晴の空。
その爽やかな青が似合わない人は、この人ぐらいじゃないだろうか。
「何でここに……」
側に立っている鷺沼さんを凝視し、私は緊張しながら尋ねた。