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冷血な獣
第12章 強敵
急に強張り出す体。
ドクンドクンと大きく跳ねる鼓動。
…もう見つかるなんて。
龍河さんに知らせないと。
早く。
「逃げられると思っていたんですか?」
「っ……」
「ここへ来たのは当然椿様から二人を連れ戻す様に言われたからです。それが私の仕事ですから」
冷然たる態度で話す鷺沼さんの言葉を、押し黙って聞く。
しかし急にニコッと笑って、私の前まで歩み寄ってくる鷺沼さん。
「…というのは表向きな言葉で。本当は妃南さんに会いたかったんです」
その言葉を聞いて、私は呆ける暇もなく。
鷺沼さんから左手を引き寄せられ、手の甲に口付けられた。