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冷血な獣
第13章 躾
…どうしようと言われても。私がどうしたらいいんだろう。
「あの……」
結婚のことはどうするんだろう。龍河さんとの結婚、諦めるのかな……。
「とりあえず、抱きしめさせて」
真剣な瞳で、こちらを見据える椿さん。冗談ではなさそう……。
「えっ!?」
私が驚いている内に、椿さんの両手が伸びてきた。そのまま椿さんは私を抱きしめ、顔を私の肩に置く。
「妃南ぁ……」
甘える様な声が耳元ですると、私は胸を締め付けられる。…きっと酔ってるんだ。だからこんな事を私に……。
「やっぱり好きだ。どうしよう。俺、灯さんと結婚したかったのに……」
触れ合う肌から、椿さんの体温が伝わってくる。
「妃南のこと、灯さんから奪って良い?」
唐突にトーンが低くなる声。それに驚いて私が椿さんの体から離れると、冷血な顔付きの椿さんと目が合った。
「妃南、俺と結婚しよう」
…結婚?私と!?
「何を言って……」
酔ってるんだよね?これも、本気じゃないよね?
困惑していると、今度は突然椿さんが後ろへ倒れ込んだ。
「椿さん!?大丈夫ですか!?」
驚いて声を掛けると、すぐに階段から鷺沼さんが降りてきた。