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冷血な獣
第13章 躾

普段は珍しい深刻そうな表情でソファの前に来ると、ソファに寝そべっている椿さんを抱えあげる。

「鷺沼さん、椿さんが!」

不安と恐怖で速まる鼓動。そんな私とは反対に、鷺沼さんは落ち着き払った態度で話した。

「大丈夫です」

…大丈夫?どこが?気を失ってるのに。

「本当ですか……?」

「ええ。最近悩んでいるようでしたから、疲れがたまっていたんでしょう。眠れないせいで睡眠薬も飲んでいたので、きっと今何か安心することがあって一気に効いたんです」

…睡眠薬?そんなものを飲まないと、寝れなかったんだ。

「安心する事って……?」

不思議に思い、質問した。

「貴方ですよ」

鷺沼さんは私を見ながら、フッと微笑む。

「私……?」

どういう意味だろうか。そう思っていると、真顔に戻った鷺沼さんから頼まれて、

「椿様をベッドへ寝かせるのを手伝って貰えますか?」

「はい……」

私はまだ不安が消えないまま、頷いた。

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