この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
冷血な獣
第13章 躾
普段は珍しい深刻そうな表情でソファの前に来ると、ソファに寝そべっている椿さんを抱えあげる。
「鷺沼さん、椿さんが!」
不安と恐怖で速まる鼓動。そんな私とは反対に、鷺沼さんは落ち着き払った態度で話した。
「大丈夫です」
…大丈夫?どこが?気を失ってるのに。
「本当ですか……?」
「ええ。最近悩んでいるようでしたから、疲れがたまっていたんでしょう。眠れないせいで睡眠薬も飲んでいたので、きっと今何か安心することがあって一気に効いたんです」
…睡眠薬?そんなものを飲まないと、寝れなかったんだ。
「安心する事って……?」
不思議に思い、質問した。
「貴方ですよ」
鷺沼さんは私を見ながら、フッと微笑む。
「私……?」
どういう意味だろうか。そう思っていると、真顔に戻った鷺沼さんから頼まれて、
「椿様をベッドへ寝かせるのを手伝って貰えますか?」
「はい……」
私はまだ不安が消えないまま、頷いた。