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冷血な獣
第13章 躾
「龍河さん!?」
黒のジャケットにパンツとネクタイ、白のシャツ。…様になってる。驚きながら、近付いてくる龍河さんに見惚れてしまう。
「…良かった。会えて。大丈夫だったか?アイツらといたんだろ?」
心配そうに質問して、龍河さんは私の顔をペタペタと両手で触り始めた。
「平気でしたよ。龍河さんの方が、大丈夫ですか?執事をさせられてるって聞きました……」
「ああ……実は……っ!」
急に身動きを止め、辛そうに床へ倒れ込む。額には冷や汗を滲ませ、四つん這いのまま顔を歪ませる。
「どうしたんですか!?具合が悪いんですか!?」
私は龍河さんの前に座り込むと、心配で尋ねた。
「…大丈夫だ。具合が悪いんじゃないんだ…」
そうは言われても、顔色だって悪い気がするし……。
酷く辛そう。
「くそ……絶対に許さん。アイツら……」
「アイツら……?アイツらって、椿さん達の事ですか?」
「そうだ……うっ、くっ……」
怒りながら、更に顔をしかめる。
そんな龍河さんを見ていると、何処かで低く鈍い音がしていることに気付いた。