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冷血な獣
第13章 躾
歪む世界。起きて欲しくない事が近い未来に起きる予感がして、息が苦しくなる。
「だめ……はぁっ……」
もう手放したくはない。やっと掴んだのに。そんな拒む様な目で見ないで。
「甘い香り。俺にもうつして」
首筋を嗅いで椿さんがそう呟くと、私は首を横に振る。
「龍河さん、助けて……」
「妃南……」
私の言葉にこたえて龍河さんが立ち上がろうとすると、椿さんが目を細めた。
「スイッチオン。どう?灯さん、妃南を取られた感想」
「椿……お前、絶対許さん……っ」
バイブ音が響く部屋。同時に、龍河さんの呻く声も再び聞こえ始める。
「くっ……あっ……」
私の首筋から聞こえるリップ音も、止むことなく鳴って、異様な三人の姿がいつしか降り始めた雨で曇った窓に写った。