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冷血な獣
第15章 黒い渦
「ちぇー。灯さんが出掛けてるなら来なきゃ良かったー。妃南だけなら来た意味ないわー」
「椿さん、聞こえてますよ」
不満そうに話す椿さんへ落ち着いて話しながら、やはり私の視線は涼太さんへ向いてしまう。
…それにしても、やっぱり誰かに似ている。
誰だ。
「あっ!」
思い出して思わず大きな声を出すと、二人がビクッと体を揺らした。
「なに!?妃南、どうした!?」
「涼太さんが誰かに似ているなと考えていたんですけど、今分かりました!」
そうか、あの人に似てるんだ!
「似てる?兄貴が?誰に?」
キョトンとして椿さんが涼太さんの顔をじっくり見ると、私は答える。
「私の幼馴染に似てます!偶然ですね!名前も一緒です!」
その瞬間、涼太さんがソファから勢いよく立ち上がり話すと、
「あの……妃南さん。トイレ借りても良いですか?」
「はい、どうぞ。こっちです」
涼太さんを案内し、リビングのドアの方へ歩き出した。