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冷血な獣
第15章 黒い渦
「トイレはここです」
そのままトイレへ私が案内した後、涼太さんがリビングのドアを閉めた。
「…ありがとうございます。」
「いえいえ」
そんな涼太さんに軽くお辞儀をして、リビングへ戻ろうと歩き出す。しかし。
「…待って下さい」
声を掛けられると、立ち止まった。
「どうかしました?」
「あの……」
涼太さんはぼーっとしていて、不思議な雰囲気がある。兄弟だけど椿さんとは、また違う。
「何ですか?」
「結婚……」
「えっ?」
質問した後、思わぬ言葉が帰ってきてキョトンとした。そんな私をじっと見つめながら、涼太さんは低く続ける。
「結婚したいんですけど」