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冷血な獣
第15章 黒い渦
結婚?って、あの結婚だよね。
「そうなんですね。誰か良い方がいらっしゃるんですか?」
「…いないんですが」
ぼんやりとして答えると、涼太さんは続けた。
「ずっと好きだと思う人はいるんです……」
真面目そうな涼太さんが片思い。胸にぐっとくるのは何故だろう。
「そうなんですか。素敵ですね。その人の事、いつから好きなんですか?」
自然と笑顔になっていた。こういう恋愛話は嫌いじゃない。それが涼太さんの様な純粋な人だと尚更。応援したくなる。
「子供の頃から好きです……俺、親の再婚で彼女と離れないといけなくなっちゃって……でも、ずっと好きでした。忘れられなかった。子供の頃からなんて気持ち悪いでしょ?」
「そんな事ないですよ!一途なんだなって思います!」
遠慮がちに話す涼太さんが私の言葉を聞いて、ほっと安心した様な顔をする。
「本当ですか?じゃあ、好きでいても良いのかな?」
「勿論ですよ」
二人同時に笑顔で見つめ合うと、笑い声がどちらからともなく溢れた。