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冷血な獣
第16章 飼い猫
「えっ?猫飼ってるの?」
「うん。周りに内緒で」
「内緒でって……」
鳴き声とか爪研ぎの音でバレないんだろうか。一応壁は防音になってるけど。
「妃南、猫好き?」
「うん……」
「どうする?」
ニコニコした笑顔のりょう君から見られながら、私の頭には猫が思い浮かぶ。あのピンと伸びた髭。柔らかい肉球。愛らしい瞳。……心が揺さぶられる。無性に、ふわふわしたお腹へ顔を埋めてもふもふしたくなった。
しかし。
「良い。やめとく。バイバイ」
冷静になって断ると、りょう君の横を通過する。途端勢い良く腕を掴まれ、立ち止まった。
「ちょっと待って!行こう!行こうよ!猫だよ!」
「猫カフェに行けば見れるし……」
「猫カフェよりうちはタダで見れるんだよ!それに何処の猫よりうちのが可愛いんだから!」