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冷血な獣
第16章 飼い猫

掴まれた腕に痛みが走り、話すりょう君は何か焦っている様に見える。何故そこまで猫に拘るんだろうか。

「じゃあ写メ見せて。やっぱり行かない」

「っ……」

また私が断ると、りょう君は黙り込む。そして突然低い声で話し出したかと思えば、不機嫌そうに私の事を睨み付けた。

「猫なんていねーよ……」

「え……」

「分かれよ……部屋に連れ込もうとしてんだろーが」

「どうしたんですか……」

怖くて、思わず敬語になった。豹変。これをそう呼ぶんだろう。唖然と鬼の様な顔を見ながら一歩後退さろうとして、りょう君にジーンズのポケットから取り出したものを見せられる。

「妃南、これ食べた事ある……?」

「それ、飴?」

りょう君の掌に乗っている一つの飴は、苺柄の包装紙に包まれていて、私には見覚えがあった。
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