この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
冷血な獣
第16章 飼い猫
掴まれた腕に痛みが走り、話すりょう君は何か焦っている様に見える。何故そこまで猫に拘るんだろうか。
「じゃあ写メ見せて。やっぱり行かない」
「っ……」
また私が断ると、りょう君は黙り込む。そして突然低い声で話し出したかと思えば、不機嫌そうに私の事を睨み付けた。
「猫なんていねーよ……」
「え……」
「分かれよ……部屋に連れ込もうとしてんだろーが」
「どうしたんですか……」
怖くて、思わず敬語になった。豹変。これをそう呼ぶんだろう。唖然と鬼の様な顔を見ながら一歩後退さろうとして、りょう君にジーンズのポケットから取り出したものを見せられる。
「妃南、これ食べた事ある……?」
「それ、飴?」
りょう君の掌に乗っている一つの飴は、苺柄の包装紙に包まれていて、私には見覚えがあった。