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冷血な獣
第16章 飼い猫
何故こうなってしまったんだろう。幼かった頃、天使の様に可愛かったりょう君。その面影が、見るも無惨に打ち砕かれた。
「物珍しそうに見てんじゃねーぞ。クソ」
ギロッと、まるで仁王像の如く睨み付ける瞳。圧倒的な威圧感。前までのマイナスイオンが出ている様な癒しオーラは消え去り、埃が飛び散っている濁り100%なオーラ。これ絶対逆らっちゃダメな奴……。
「……ごめんなさい……」
震え上がりながら謝罪する。そんな戦力0な私へ、りょう君は質問した。
「で、どうすんの?俺の部屋か屋敷」
「えっ?」
「えっじゃねーよ。どっち行きたいか選べ」
「どっちも行きたくないって言ったら……?」
絶対に行きたくない。行ったら最後、帰ってこれない気がする。とはいえ、どっちも選ばなくて良いなんて、りょう君が言う筈ないが。
「拐う」
やはり即答。真面目な顔でさらりとおぞましい事を言い、空気を凍り付かせる、その心理が知りたい。
「拐うって……拐って何するの?」
「そんなの決まってんだろーが」
答えてりょう君は、視線を飴へ移した。