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冷血な獣
第16章 飼い猫
「これを使って……」
が、どうしたことだろう。突然、紅潮し始めるりょう君の顔。まるで心配になる程、茹で蛸状態。
「あの……」
「……兎に角!部屋か屋敷、どっちか来い!」
横暴だ。横暴過ぎる。
「警察を……」
椿さんの件で拐われた事もあるし、万が一の事を考えて自分の身は自分で守らないと。携帯、スカートのポケットに入れてた筈……。
「警察を呼ぶ前に、妃南に良いこと教えてやろーか」
「良いこと……?」
「これを聞いたら、お前は絶対俺についてくる」
携帯を取り出そうとしていた手を止め、そのまま話に耳を傾ける。聞かなければ良かったと、すぐ思うはめになるなんて思いもせず。
「妃南、俺―――」
何処からか聞こえてくる子供の泣き声に、寂しそうに話すりょう君を重ねた。